「体重は増えているけれど、この増え方で大丈夫?」
「成長曲線の下の方だけど問題ないの?」
「体重は毎日測った方がいい?」
赤ちゃんの体重に関する相談はとても多いです。
乳児の成長を評価するうえで体重は最も重要な指標の一つですが、「○kgあるから安心」「成長曲線の真ん中だから順調」といった単純なものではありません。
この記事では、成長評価で実際に用いられる「日割りの体重増加量」と「乳児身体発育曲線(以下、成長曲線)」の見方について、助産師の視点からわかりやすく解説します。
まず知っておきたい成長評価の基本
赤ちゃんの体重は、「いま何kgあるか」という単発の数値だけでは評価できません。大切なのは、一定期間でどのくらい増えたかという体重増加の推移です。
そのため乳児の成長評価では主に、次の2つを組み合わせて判断します。
- 日割りの体重増加量
- 成長曲線での推移
日割りの体重増加量で「最近の栄養状態や哺乳量が適切か」を確認し、成長曲線で「長期的な発育の推移」を確認することで、はじめて成長を適切に評価できます。
それぞれの見方について詳しく見ていきましょう。
日割り体重増加量とは
日割り体重増加量とは、一定期間の体重増加を1日あたりの増加量(g/日)に換算した指標です。
乳児の「栄養状態や哺乳量が適切か」を評価する際に広く用いられています。
なぜ日割りで考えるの?
乳児の体重は、授乳量や排泄のタイミングなどによって変動します。そのため、1日だけの体重変化を見ても順調かどうかは判断できません。
毎日体重を測ると「昨日は60gも増えたけど今日は8gしか増えなかった」というように変動があるのが普通で、短期間では評価を誤りやすいためです。
なので、一定期間の推移で評価します。
月齢ごとにどの程度の間隔を空けるべきかの目安は以下です。
[評価期間の目安]
・生後1〜6ヶ月:1週間
・生後6〜12ヶ月:2週間
・生後12ヶ月以上:1ヶ月
※ガイドラインでは、これより短い間隔で評価しても適切な判断が難しいことから、少なくとも上記の期間をあけて評価することが望ましいとされています。[1]
この方法をとることで、一時的な増減に左右されず、最近の栄養状態や哺乳量を客観的に評価することができます。
医療現場では、哺乳量が適切かを判断する重要な指標として、日割り体重増加量が広く用いられています。
日割り体重増加量の計算方法
期間内の体重増加量を経過日数で割って、1日あたりの体重増加量を求めます。
例えば、1週間で210g増えていた場合は、
210g ÷ 7日 = 30g/日
となり、「1日あたり30g増えている」と計算できます。
この値を月齢ごとの目安と照らし合わせて評価します。
月齢ごとの目安
体重増加量にはおおよその目安があります。
[期待される体重増加]
・生後0〜3ヶ月:25〜30g/日
・生後3〜6ヶ月:15〜20g/日
・生後6〜12ヶ月:10〜15g/日[2]
哺乳量の過不足は、体重だけでなく活気や尿量などもあわせて総合的に判断します。
詳しくはこちらの記事で解説しています。

日割り体重増加量を見るときの注意点
この数値はあくまで目安であり、多少外れていても問題なく成長している赤ちゃんは多くいます。
とくに生後0〜3ヶ月では個人差が大きく、ばらつきもよく見られます。そのため日割り体重増加量だけで判断せず、成長曲線や哺乳状況、全身状態などをあわせて評価することが大切です。
ただし、日割り体重増加量が目安を下回る場合は、哺乳量不足などが隠れている可能性もあるため、助産師や医師に相談することをおすすめします。
また、目安を上回っていても、吐き戻しが多い、授乳のたびに困りごとがあるなど気になることがあれば、遠慮なく相談しましょう。授乳に関することは「母乳外来」や「助産院」が相談窓口になります。
成長曲線とは
成長曲線とは、赤ちゃんの身長や体重が月齢に応じてどのように成長しているかを確認するためのグラフです。
同じ月齢の子どもの中でおおよそどの位置にいるかや、成長の経過を確認することができます。

母子健康手帳や子育てアプリにも掲載されているので、体重や身長を記録している方も多いのではないでしょうか。
しかし、このグラフの「本当の見方」を知っている人は、あまり多くないように感じています。
成長曲線の見方
実は医療現場などで詳しく発育を評価する際には、母子手帳のグラフに「パーセンタイル線」という細かい数字の線を加えた、より詳細なバージョンが使われています。
それが下図です。

右側にある「3・10・25・50・75・90・97」という数字は、「100人の同じ月齢の子どもがいた場合、おおよそ何番目の大きさ」かを表しています。
例えば、3の線は小さい方から3番目、50はちょうど真ん中、97の線は大きい方から3番目に位置しています。
そのため、線の上下から外れる子どもは必ず一定数います。線から外れたからといって、それだけで異常というわけではないということです。
成長曲線の考え方
多くの人は「帯の中に入っているか」や「上の方か、下の方か」を気にします。
成長曲線で本当に大切なのは、「どの位置にいるか」ではなく、「どのように成長しているか(推移)」を見ることです。
成長曲線は、他の子と比べるためではなく、その子がその子なりのペースで成長しているかを確認するためのグラフです。
しかし実際には、大きめに育っていると安心されやすい一方で、小さめだと必要以上に心配になりやすい、という「受け取り方の差」が見られます。
1歳未満の乳児期は、小さめに生まれた赤ちゃんは下の方の曲線に沿って、大きめに生まれた赤ちゃんは上の方の曲線に沿って成長することが一般的です。
つまり、「上にいる方が良い」「下にいると問題」という見方は本来の目的とは異なります。
成長曲線で注意すべき変化
問題になるのは、これまでの曲線から明らかに外れていくような変化です(目安として複数の曲線をまたぐような変化)。
こうした変化が見られるときは、授乳状況や飲み方、体調の変化なども確認しながら、体重の推移を丁寧に追っていく必要があります。
成長には個人差があり一時的な変動もめずらしくありませんが、気になる変化が続く場合には自己判断せず、助産師や医療機関に相談し、状態を確認してもらうことが推奨されます。
まとめ
ここまで見てきたように、数字は客観的な指標としてとてもわかりやすい一方で、順位や比較として受け取られやすい側面もあります。
しかしそれは、他の子と比較したり、良し悪しを評価するためのものではなく、目の前の我が子がどのように成長しているのかを理解するための手がかりです。こうした視点を持つことで、育児全体に余裕や柔らかさが生まれてきます。
「この月齢の授乳回数は◯回」
「何分ずつ何cc飲ませるのが正解」
そんな情報に振り回されずに進んでいくための手がかりとして、この記事が参考になればうれしいです。
関連記事【はじめましての育児論】
参考文献
[1]横山徹爾(研究代表者). 『乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド』. 令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業「乳幼児の身体発育及び健康度に関する調査実施手法及び評価に関する研究(H30-健やか-指定-001)」. 2021年3月.p9
[2]同上 p.8
このサイトは、育児に関する情報発信を継続するため、任意のご支援(おふせ)で運営しています。すべての記事は無料でご覧いただけます。役に立ったと感じた場合に、ご支援いただけると励みになります。
OFUSEで応援を送る

