「授乳間隔を空けて母乳を溜めてから飲ませたほうが、赤ちゃんはたくさん飲めるのでは?」
「頻回授乳だとおっぱいが枯れて、ほとんど飲めてない気がする」
胸が張るまで母乳を溜めてから授乳した方がいいのでは、という質問はとても多いです。
でも、母乳を増やしたい場合、「溜めてから飲ませる」は逆効果です。
この記事では、なぜ母乳を溜めてから飲ませる方法が、母乳を増やしたいときには逆効果になるのかを解説します。
なぜ「溜めてから」は逆効果なのか
夕方に赤ちゃんが頻繁に母乳を欲しがり、「もうおっぱいが枯れている」と感じたことはありませんか?
逆に、夜中に親子そろってぐっすり6時間も寝てしまい胸がパンパンに張ったときなどは、赤ちゃんがゴクゴクと喉を鳴らしながら母乳を飲む姿を見て、「これはたっぷり飲めていそう」と感じることも。
実際、授乳間隔を空ければ乳房に母乳が溜まるので、頻回授乳に比べて1回に飲める量は増えます。しかしそれは、「短期的に見た1回母乳量」が増えているだけです。
母乳は「出せば出すだけ作られて、溜めておくと減る」という仕組みがあります。
今までは3時間で胸が張っていたのに、毎回しっかり張るまで待つようにしていたら、6時間経ってもあまり張らなくなってきた…。「溜まったらあげる」を続けていると母乳が乳房に残っている時間が長くなり、長期的に見ると母乳の分泌は低下していきます。
つまり、母乳を増やしたいのに「母乳を溜めてから出す」という方法を続けると、母乳を作るための刺激そのものを減らしてしまうことになります。
母乳を増やしたい場合、張る・張らないにかかわらず赤ちゃんが欲しがるたびに授乳することが大切です。
母乳の増減の仕組みについては以下の記事で詳しく解説しています。

授乳回数を増やすと、1回に出る量は一時的に減って見える
「頻回授乳はわかったけど、すぐにまた欲しがって泣くんだけど? おっぱいを離した時点で泣くこともあるし、どうしたらいいの?」
母乳を増やすために授乳回数を増やすと、一時的に、1回に飲める母乳量は減ります。
例えば、授乳回数が1日3回、それぞれ60mlずつ出る人がいたとします。その人が授乳回数を1日8回に増やすと、1回の授乳量は20ml程度になります。
式に表すと以下です。
◎元々の授乳方法
60ml(1回の授乳量) × 3回(1日の授乳回数) = 180ml(1日に作れる母乳量)
◎頻回授乳に切り替えた直後
180ml(1日に作れる母乳量) ÷ 8回(1日の授乳回数) = 22.5ml(1回の授乳量)
このように、授乳回数を増やした直後は、1回の母乳量は一時的に減るわけです。
ここで多くの人たちは「こんなにがんばって授乳してるのにこれしか出ないなんて…。赤ちゃんも全然満足してくれないし、胸に母乳を溜めてから飲ませたほうがいいのでは」と思ってしまいます。
でも、1回量の少なさに惑わされないで欲しいです。赤ちゃんの欲求に合わせて頻回授乳を続けていると徐々に母乳量が増えて、それに伴い1回に飲める量も増えていきます。
授乳間隔を空けなくても、母乳は作られる
とはいえ、頻回授乳が続くと「まだおっぱいに母乳が溜まってないんじゃない?本当に飲めてるの?」と不安になってしまうかもしれません。
しかし母乳は、授乳前に乳房に溜まっていたものだけを飲ませているわけではありません。赤ちゃんが吸う刺激によって授乳中にも母乳は作られ、乳房から出てきます。
「溜まっていない=飲ませる母乳がない」ではないのです。
通常、頻回授乳に切り替えて効果的に母乳が飲み取れていると、2週間ほどで母乳が増えてきた感覚が出てきます。
赤ちゃんが頻繁に欲しがることが続いていて、母乳が増えている感じがまったくない。そんなときは哺乳量が足りているかどうかも確認しましょう。体重評価については以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ
母乳を増やしたいなら、以下のような行動は避けましょう。
[母乳を増やしたいときのNG行動]
- 胸がしっかり張るまで待つ
- 母乳を溜めるために、授乳・搾乳の間隔を空ける
- 授乳回数を増やして1回量が減ったから、焦って元のやり方に戻す
頻回授乳を始めると、最初は1回に飲める量が少なくなったように感じるかもしれません。また、以前より胸が張らなくなり不安に感じてしまう方もいます。
でも、「胸が張っていない」「1回に飲める量が少ない」ことだけで、母乳が足りないと判断することはできません。
母乳を増やすときの目標は、1回量を増やすために母乳を溜めることではなく、定期的に母乳を出して1日トータルでみたときの母乳量を少しずつ増やしていくことです。
母乳を増やしたいと思ってもなかなかうまくいかないときは、ひとりで悩まず助産師に相談してください。母乳外来や助産院などで、授乳について相談することができます。
このサイトは、育児に関する情報発信を継続するため、任意のご支援(おふせ)で運営しています。すべての記事は無料でご覧いただけます。役に立ったと感じた場合に、ご支援いただけると励みになります。
OFUSEで応援を送る