母乳育児はずっと大変?|1歳までの変化と見通し

「母乳育児は大変そう」

そう感じて、最初から「なるべくラクな授乳方法」を選ぼうとする人は少なくありません。

しかし、その判断をするときに、母乳育児が月齢とともにどのように変化していくのかは、あまり知られていません。

この記事では、

  • なぜ母乳育児は「ずっと大変」と思われやすいのか
  • 母乳育児は実際にどう変化していくのか

を整理していきます。

目次

「母乳育児はずっと大変」は誤解

母乳育児は大変と思われがちですが、それは誤解です。

たしかに、母乳育児は最初が一番大変です。
しかし実際には、軌道に乗ったあとの授乳頻度や回数はミルク育児とほとんど差がありません。

多くの人は最も大変な時期をみて、「母乳育児=ずっと大変」と感じてしまいます。

産後数週間の授乳と、3か月の授乳は別物です。1歳近い赤ちゃんへの授乳は、さらに別物。

つまり、産後早期の母乳育児だけを見て、1年後までを想像することは適切ではないのです。

なぜ母乳育児は「大変そう」に見えるのか

母乳育児は、以下のイメージを持たれがちです。

  • 3時間おきに授乳しなければいけない
  • 預けられない
  • 出かけられない
  • 夜も全部自分
  • 自由がなくなる

しかし母乳が軌道に乗ると、

  • 調乳が不要
  • 哺乳瓶の洗浄が不要
  • 外出時の荷物が少ない
  • 夜間も準備なしで対応できる

というメリットがあり、産後早期に抱いていたイメージとのギャップを感じる人も多いです。

一方で、ラクそうに見える混合育児も、母乳とミルクの調整や哺乳瓶の管理が必要になるため、想像より手間がかかることがあります。

もちろん混合育児が悪いわけではありません。

ただ、多くの人がイメージしている「必要なときだけミルクを足す混合」は、母乳がある程度軌道に乗っていることを前提としている場合も少なくないのです。

▶︎関連記事:【あなたの目指す混合はどれ?|混合のバリエーションと選び方】

そもそも母乳はいつまであげるもの?

母乳育児について考えるとき、意外と多いのが

「そもそも母乳っていつまであげるの?」

という疑問です。

生後6か月頃までは母乳または育児用ミルクが栄養を担う時期です。日本では一般的に、生後5〜6ヶ月頃から離乳食を始めることが推奨されています。

とはいえ、開始直後は食べる量が少なく、食事だけで栄養をまかなえる段階ではありません。そのため、この時期も授乳は続きます。

世界保健機関(WHO)をはじめとする専門機関でも、離乳食を進めながら母乳育児(またはミルク栄養)を継続することが推奨されています。詳しくは以下の記事で解説しています。

▶︎関連記事:【エビデンスとしての母乳】

母乳育児の月齢別の変化

母乳育児は出生後から1歳にかけて、月齢とともに少しずつ変化していきます。
ここでは、その流れを時期ごとに整理していきます。

産後0〜1ヶ月:立ち上げ期(頻回授乳の時期)

産後0〜1ヶ月は、母乳育児の中でもっとも負荷が高い時期です。
母乳分泌は立ち上がり途中で、赤ちゃんもまだ飲むのが上手ではありません。

そのため、

  • 昼夜問わずの頻回授乳
  • 授乳間隔の不安定さ

といった状態がよくみられます。

大変ではありますが、これは母乳育児を成立させるために必ず必要となる初期プロセスです。
▶︎関連記事:【母乳推進病院はスパルタ!? なぜ産後数日の授乳がそんなに大事なのか】

この時期の目標は、赤ちゃんに必要な量の母乳分泌を確立すること。
作られた母乳をしっかり体の外に出すことで、母乳を作る力が育っていきます。

生後1ヶ月に近づいても頻回授乳が続く場合、母乳がうまく飲み取れてない可能性も。その結果、母乳分泌が思うように伸びないことがあります。気になる場合は早めに助産師に相談しましょう。

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産後2〜5か月:安定期(授乳リズムを整える時期)

産後2ヶ月頃になると、「母乳が軌道に乗ってきた」と感じる人が増えてきます。

母乳が軌道に乗るとは、赤ちゃんがしっかり飲めるようになり、母乳の分泌量と飲む量のバランスが安定してくること。この状態になると、一回で飲める量が増え、授乳時間も短くなり、日中はおおよそ3〜4時間毎の授乳間隔に。胸の張りも落ち着いてきます。

一方で、この時期は母乳育児の「分岐点」でもあります。

おっぱいは赤ちゃんを落ち着かせる力が強いため、泣いたら授乳、寝かしつけに授乳、困ったら授乳になりやすく、授乳が空腹以外の場面で繰り返されることも。すると月齢が進んでも「ずっと授乳している」「母乳育児が大変」という状態につながっていきます。

つまりこの頃からは、授乳の仕方によってその後の母乳育児の大変さに差が出やすくなっていきます。

▶︎関連記事:【「母乳はいつでもあげていい」の落とし穴|頻回授乳が苦しくなる理由】

産後6〜8ヶ月:移行期(離乳食が進み始める時期)

産後6ヶ月をすぎると離乳食が始まります。食べる量の増加に伴い1日の哺乳量が少しずつ減っていきます。

日中の授乳間隔は3〜4時間程度。
一方で、夜の睡眠がまとまってくることで夜間授乳は減り、「日中に飲む・夜は寝る」というリズムが作られていきます。

こうして日中と夜のメリハリがつき、親子ともに過ごしやすい生活リズムへと移っていきます。この時期になっても夜間の授乳間隔が空かない場合は、睡眠環境や生活リズムを見直す必要があるかもしれません。

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産後9〜12ヶ月:安定完了期(食事中心へ移行する時期)

9ヶ月以降、離乳食を1日3回食べる子が増えてきます。離乳食をしっかり食べると、食後の授乳を飲まなくなる子も。栄養の中心は食事へと移っていきます。

また、夜通し眠れるようになる子が増え、夜間授乳がなくなっていきます。ただし、食事量や食形態がまだ十分でない場合には、夜間授乳が続くこともあります。

その結果、授乳回数は1日2〜4回程度になります。授乳量や回数の減少にあわせて、母乳の分泌量も少しずつ減っていきます。

まとめ

母乳育児は軌道に乗るまでが大変に感じやすい一方で、その後の負担は下がっていきます。

母乳はすべてが運任せだと思われがちですが、そんなことはありません。各時期の特徴を知り目指す方向をもって進んでいけば、結果を変えていくこともできるのです。

授乳の進み方には個人差があり迷うこともあります。困ったときは助産院や母乳外来、助産師に相談してみてください。


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この記事を書いた人

北川 真貴のアバター 北川 真貴 ソラチ助産院代表

助産師歴 21年 |授乳・睡眠・だっこ・整体・アーユルヴェーダ|
焦らず、比べず、正解や効率に振り回されない、やわらかい育児を発信。

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