母乳育児をするときに、搾乳器を買っておいた方がいいのかな?と考える人は少なくありません。そして、どの商品を選べばいいかについても悩ましいところではないかと思います。
結論から言うと、搾乳器は全員に必須のアイテムではありませんが、定期的に搾乳が必要なのであれば1つ持っているととても役に立ちます。
搾乳器を買うのなら、私のおすすめは「メデラ」です。
この記事では助産師である私がメデラをおすすめする理由を説明します。
メデラとは?
メデラ(Medela)は、1961年にスイスで設立された母乳育児用品メーカーです。搾乳器だけでなく、母乳を保存するためのグッズや乳頭保護器など、母乳育児をサポートする製品を幅広く取り扱っています。乳首がひりついたときに塗る保護クリーム「ピュアレーン」もメデラの商品です。
メデラは医療従事者や母乳研究の専門家や大学などと協力しながら、乳房の仕組みや赤ちゃんの吸啜(きゅうてつ:赤ちゃんがおっぱいを吸うこと)、母乳についての研究を続けており、得られた知見を実際の製品開発にも活かしています。
たとえば、赤ちゃんの吸啜や授乳中の乳房についての研究結果をもとに、赤ちゃんの自然な吸啜リズムを再現した「2-Phase Expression®(2フェーズさく乳)」を開発し、2001年には世界で初めて病院向けの電動搾乳器Symphony®(シンフォニー)に搭載しました。現在では、同社の個人向け搾乳器にもこの技術が採用されています。
メデラの搾乳器は日本の多くの病院・産院で採用されていて、私が最初に勤めた大学病院でも実際に使われていました。
【コラム】赤ちゃんの自然な吸啜リズムとは
赤ちゃんがおっぱいから母乳を飲むときは、最初は速いリズムで乳首を刺激して母乳の分泌(射乳反射)を促し、母乳が出始めるとゆっくり深いリズムで飲むという哺乳パターンがみられます。射乳反射が起こるかどうかで、飲める母乳の量にはかなりの差があることがわかっています。
搾乳器は「使いやすさ」が命
基本的に、搾乳という作業にはどうしても「手間」がかかります。
直接赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう手軽さに比べると、搾乳は毎回これだけのステップを踏む必要があるからです。
- 搾乳器を組み立てる
- 搾乳する
- 搾った母乳を保存パック等に保存する
- 搾乳器を解体して洗浄する
- 必要に応じて消毒する
- (次回使用前に)また組み立てる
この一連の作業がどれだけスムーズにストレスなくできるかで、日々の搾乳の負担は劇的に変わります。その点、メデラの搾乳器は「手間」を減らす工夫がされていると感じます。
パーツが少なく、洗浄・組み立てがしやすい
世の中にある搾乳器のなかには、細かいパーツが多かったり、組み立てに力が必要なものもあります。ただでさえ育児で忙しいのに毎回「めんどくささ」があると、「赤ちゃんのお世話もあってそれどころじゃないし……」と、搾乳そのものを諦めるきっかけになってしまいます。
パーツが少なく組み立てが簡単なことは、搾乳へのハードルを下げてくれます。
赤ちゃんの自然な吸啜リズムで母乳を出しやすくしている
搾乳器は、「実際に母乳が搾れること」が何よりも大切です。どれだけ組み立てやお手入れが簡単でも、母乳がしっかり取れなければ意味がありません。
もちろん「メデラなら誰でも必ず確実に搾乳できる」わけではありませんが、赤ちゃんが母乳を飲む動きをできるだけ再現することで、母乳を搾りやすくなる工夫がなされています。
関連記事:【母乳吸啜のメカニズム】
今まで臨床で、他社の搾乳器で「ほとんど母乳が取れません…」と苦戦しているケースをたくさん見てきました。(もちろん、機械と相性がよくて取れる人もいますが。)せっかく時間をかけて搾乳してもほとんど取れないのは、思っている以上に精神的ダメージが大きいです。母乳がしっかり搾れると搾乳のモチベーションを維持しやすくなります。
メデラにはさまざまな搾乳器がある
メデラの搾乳器にはいくつか種類があります。それぞれどんな人に向いているのか、私自身の考えを交えながら紹介します。
【手動】ハーモニー手動さく乳器
メデラが手がける手動搾乳器です。
ハンドルを上下どちら側にシュコシュコするかで圧が変わり、「赤ちゃんの自然な吸啜リズム」を再現することができます。
メリット
- メデラの搾乳器のなかで一番安価
- 電源が必要ないので、場所を選ばず使える
デメリット
- 搾乳中はハンドルをシュコシュコと動かし続ける必要がある
- 片胸ずつ搾乳するため、両胸を同時に搾乳できるタイプより時間がかかる
いちばんのデメリットは「ずっと手を動かす必要がある」こと。授乳のほとんどが搾乳だという場合、負担が大きいかなと思います。逆に搾乳は1日に1〜2回するかどうか、あるいはそれより低頻度という方なら、ハーモニー手動さく乳器でも十分だと思います。搾乳の頻度が低ければ、時間がかかるという手動のデメリットもそれほど気にならないでしょう。
【電動片胸】イージー電動さく乳器(シングルポンプ)
片胸ずつ電動で搾乳するタイプ。チューブがなく、コンパクトで持ち運びやすいのが特徴です。
メリット
- 手動のようにハンドルを動かし続ける必要がない
- チューブがないため、引っかかるストレスがなく扱いやすい
- 充電式なのでコンセントにつながなくても使える
- 本体が軽く持ち運びしやすい
デメリット
- 片胸ずつの搾乳なので、両胸同時タイプに比べると時間がかかる
- 手動タイプより価格が高い
- 搾乳中ボトルを胸にあて続けなければならず、手が塞がる
搾乳頻度は高くないけれど手動でシュコシュコするのは大変。そんな人におすすめなのが片胸用電動タイプです。とくに腱鞘炎による痛みや、産後に手指のこわばりがある人には電動タイプが向いています。
ただし、母乳分泌の維持や増量を目的に搾乳する場合は、このあとに紹介するハンズフリータイプのほうがおすすめです。片胸用電動搾乳器はシュコシュコする動作は機械に任せられますが、搾乳中ずっと胸に搾乳器をあてておかなければなりません。つまり、結局は搾乳以外のことができません。
手動搾乳器同様、搾乳時間の確保が課題となります。
【ハンズフリー(チューブあり)】ソロハンズフリー電動さく乳器/フリースタイルミニ・ハンズフリー電動さく乳器
ブラの中に搾乳カップを入れてスイッチオン。あとは自動で搾乳してくれるため、搾乳中も両手を空けられます。
搾乳カップとモーターはチューブでつながっています。カップは片胸76gと軽く、胸にかかる重さを抑えられるのも特徴です。
ソロは片胸用、フリースタイル ミニは両胸用です。片胸ずつの搾乳で十分ならソロ、両胸を同時に搾乳したいならフリースタイル ミニが選択肢になります。
メリット
- 搾乳中も両手が自由になる
- 片胸用(ソロ)、両胸用(フリースタイル ミニ)から選べる
- 搾乳カップが軽く、胸にかかる重さを抑えられる
デメリット
- モーターと搾乳カップをチューブでつなぐ必要があり、邪魔に感じることもある
【ハンズフリー(チューブなし)】モーションインブラ電動さく乳器
こちらもブラの中に搾乳器を入れて使うハンズフリータイプです。モーターが搾乳器本体に一体化しているため、チューブがありません。
チューブをつなぐ手間がなくブラの中に入れてすぐ使えるので、より手軽に使いたい人にはこちらが向いています。
片胸用だけでなく両胸用セットも販売されています。両胸同時に使いたい場合はセットのものを選んでおきましょう。
メリット
- 搾乳中も両手が自由になる
- チューブがないためコード類が一切なく、装着やお手入れのステップが一番シンプル
デメリット
- 本体にモーターが内蔵されているため、チューブありタイプに比べると、胸につけたときに少し重みを感じる
母乳を増やしたいなら「ハンズフリーの両胸同時搾乳」がおすすめ
母乳を増やしたい場合には、両胸同時に搾乳できるダブルポンプ(フリースタイルミニ・ハンズフリー電動さく乳器、モーションインブラ電動さく乳器)がおすすめです。
ダブルポンプ搾乳は、片方ずつの搾乳に比べて母乳が多く搾れることがわかっています。また、搾乳はできる限り多く(1日7〜8回)行うことが推奨されていますが、搾乳中に両手が空いて行動が制限されないことは、定期的な搾乳継続にとって大切な要素です。

まとめ
ここまでいろいろな搾乳器を紹介しましたが、メデラの搾乳器はどれも使いやすさや搾乳性能を考えて作られた製品です。
搾乳する頻度や目的、使いたい場面を考えながら、自分に合うものを選んでみてください。
私自身、子どもがNICUに入院していた8日間と、退院後おっぱいからうまく母乳が飲み取れない間(おそらく1週間くらい)、「ハーモニー手動さく乳器」で3時間毎に搾乳していました。性能も良くお手入れ簡単で、手搾りよりも圧倒的に時短になり、とても助けられました。
里帰りでサポートがあったので手動でもいけていましたが、ワンオペだったらハンズフリーじゃないと厳しかったかもと感じます。
「メデラの搾乳器を持っているけれどうまく母乳が取れない!」という方は、こちらの記事に対策をまとめています。

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