赤ちゃんをどこで、どのように寝かせれば安全なのか。
赤ちゃんの安全な睡眠環境については、こども家庭庁やアメリカ小児科学会(AAP)などの公的機関が、具体的な推奨を示しています。
この記事では、これらの公的機関が示している情報をもとに、赤ちゃんの寝床をどのように整えることが推奨されているのか、また、なぜそのような注意が必要なのかを紹介します。
公的機関が推奨する赤ちゃんの睡眠環境
アメリカ小児科学会(AAP)が推奨する安全な睡眠環境
- 1歳までは仰向けで寝かせる
- 親と同じ部屋で、別の寝床に寝かせる
- 硬く、平らな寝床に、マットレスに合ったシーツをぴったり装着する
- 寝床には枕・掛け布団・ぬいぐるみなどを置かない
- ソファ・肘掛け椅子・チャイルドシート※などを睡眠場所にしない
- 過熱を避ける
- 加重スワドル・加重ブランケットなどを使用しない
※チャイルドシートは、車での移動中を除き、睡眠場所として使用しないことが推奨されています。
出典:American Academy of Pediatrics(AAP)「Safe Sleep」より、当サイトで要約・整理
こども家庭庁が推奨する安全な睡眠環境
- 1歳になるまでは、仰向けに寝かせる
- 寝具は硬めで平坦なものを使用する
- 1歳になるまでは掛け布団を使わず、着るものや空調で温度を調整する
- 寝床には何も置かない
- 睡眠環境製品は、対象年齢や使用方法を守って正しく使う
- ベビーベッドなど、赤ちゃん専用の寝床を使用する
出典:こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように ~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~」より、当サイトで要約・整理
各項目の推奨理由
仰向けで寝かせる
乳幼児突然死症候群(SIDS)は睡眠中に起こります。
うつぶせ寝、仰向け寝のどちらの体勢でも起こっていますが、仰向けに寝かせたほうが発症率が低いことが研究でわかっています。医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、寝かせるときは赤ちゃんの顔が見える仰向けに寝かせましょう。これは睡眠中の窒息事故を防ぐ上でも有効です。
「寝返り」と「寝返りがえり」の両方ができるようになった赤ちゃんは、睡眠中に自分でうつ伏せになっていてもその都度仰向けに戻す必要はないとされています。その際も、硬く平らなマットレスを使用する、寝床に物を置かないなど、安全な睡眠環境を整えていることが前提です。
1歳までは「親子同室・寝床別」
AAPは、少なくとも生後6ヶ月、できれば1歳まで、赤ちゃんは親と同じ部屋で、別の寝床で寝ることを推奨しています。親子同室にすることで赤ちゃんの様子を確認しやすく、授乳や夜間のお世話もしやすくなります。
一方、同室であることと、同じベッドで寝ることは別です。赤ちゃんの寝床は、ベビーベッドなどの赤ちゃん専用の寝床を用意します。
添い寝では、親の身体や寝具によって赤ちゃんの鼻や口がふさがれたり、身体が圧迫されたりする事故が起こる可能性があり、とくに親が疲れている、飲酒している、眠くなる薬を服用しているなどの場合は、リスクが高くなることが指摘されています。

赤ちゃんの寝床は硬く、平らに
赤ちゃんの寝床には、硬く平らなマットレスに、サイズの合ったシーツをゆるみなくぴったり装着して使用します。
柔らかく沈み込む寝具では、赤ちゃんの顔が寝具に埋もれることで窒息につながる恐れがあります。
また、傾斜のついた寝床は、赤ちゃんが滑り落ちて呼吸を妨げる姿勢になったり、横向きやうつ伏せになりやすくなったりすることが指摘されています。
寝床には何も置かない
赤ちゃんの寝床には何も置かないようにします。
枕、掛け布団、毛布、ぬいぐるみ、タオル、クッションなどを寝床に置くと、赤ちゃんの顔や口を覆うなどして、窒息につながる恐れがあります。
こども家庭庁の推奨も以前と変わっています。
2023年の資料では「掛け布団は軽いものを使いましょう」としていましたが、2024年3月公開の資料では「1歳までは掛け布団などは使わず、スリーパーなどの着るものや空調で温度を調整」としています。
ベビーベッドなどの製品は対象年齢・使用方法を守る
ベビーベッドを購入するときは、国の安全基準に適合していることを示す「子供PSCマーク」が付いているか確認しましょう。
また、ベビーベッドに限らず、睡眠関連の製品を使用する際は説明書を読み、対象年齢や使用方法を守ることも大切です。
例えば、
- 大人用ベッドに取り付ける「乳幼児用ベッドガード(転落防止用のベッド柵)」は、18ヶ月未満の乳幼児には使用しない
- 寝返りをしない月齢の赤ちゃんでも、寝かせるときや赤ちゃんから目を離すときはベビーベッドの柵は上げておく
など、製品ごとに定められた対象年齢や使用方法、安全上の注意を確認して使用しましょう。
実際に起きている事故事例
睡眠中の事故は、「隙間に挟まる」「寝具で窒息する」などが代表的ですが、実際にはかなり小さな隙間が危険につながったり、子どもの思いもよらない動きによって事故が起こったりしています。
転落防止対策が、別の事故につながった事例
大人用ベッドからの転落を防ぐために壁との間をクッションやぬいぐるみで埋めていたところ、その中に赤ちゃんが埋もれて窒息した事例があります。
また、転落防止用のベッドガードと大人用ベッドの約5cmの隙間に赤ちゃんが挟まって死亡した事例も紹介されています。
「転落しないように」「落ちてもけがをしないように」と考えてした対策が、別の事故につながることもあります。
山中龍宏「子どもを守る|けが防止のために敷いたぬいぐるみで4か月男児が窒息死…転落対策が死亡事故につながることも」
ベビーベッドの隙間による事故
ベビーベッドでも、収納扉が開いたことでできた隙間に乳児の頭部が挟まり、窒息した事故が起きています。国民生活センターでは実際の事故を再現し、どのように身体がずり落ちて挟まるのかを紹介しています。
国民生活センター|木製ベビーベッドの収納扉が不意に開き乳児が窒息する重大事故が発生!
寝具に顔が埋もれる事故
消費者庁には、医療機関から寄せられた就寝時の窒息事故が掲載されています。初めて寝返りをした赤ちゃんが低反発マットに顔を埋めた事例のほか、授乳後に保護者が眠っている間に、マットと柵の隙間を埋めていた布団や毛布の上で赤ちゃんがうつ伏せになっていた事例も紹介されています。
消費者庁「Vol.640 就寝時の窒息事故に注意しましょう」
まとめ
安全な睡眠環境について知ることは、家庭でどのように寝かせるかを考えるための材料になります。
この記事で紹介した公的機関の推奨やその理由、実際に起きている事故を通して、「何が安全で、何が危険なのか」を自分たちで考えるための知識を持ってもらえたらと思います。
安全に関する情報や推奨は、研究や事故の蓄積によって変わることもあります。最新の情報を知り、それぞれの家庭の寝床に当てはめながら、安全な睡眠環境を考えてみてください。
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