添い乳は危険?|助産師の私が添い乳を勧めない理由

赤ちゃんと添い寝をしながらおっぱいをあげる「添い乳」は、産後の疲れたお母さんにとって、身体を休めながら授乳できる裏技として使われています。

母乳育児に熱心な助産師は、添い乳を積極的に勧める傾向にあります。

とにかく母乳を出すこと、なるべく長い期間母乳育児を続けることをいちばんの目的にするなら、添い乳は有効な方法かもしれません。

しかし私は、添い乳には否定的です。なぜなら、添い乳は危険だからです。

この記事では、私が添い乳を勧めない理由について、実際に起きている事故も交えながらお伝えします。

目次

添い乳が勧められる理由

添い乳が勧められる最大の理由は、母親の負担を減らしながら授乳回数を確保できるから。

母乳育児を軌道にのせるうえで、赤ちゃんの欲求に合わせた授乳は必要不可欠です。

夜間も無理なく頻回におっぱいを吸わせることができれば母乳量が増えやすくなりますし、休みながら授乳ができれば、長く母乳育児を続けることができます。

[添い乳のメリット]

  • 夜間授乳の負担を減らせる
  • 頻回授乳を続けやすい
  • 母乳分泌の維持・増加につながりやすい

こうした理由から、積極的に添い乳を勧める助産師も少なくありません。

私自身、その理屈も一理あるなと感じます。

私が添い乳を勧めない理由

メリットがあることは承知しつつも私が添い乳を勧めない理由は、実際に赤ちゃんが亡くなる事故が起きているからです。

平成28年に消費者庁がおこなった分析では、全国で過去5年間に、0歳児が睡眠中に窒息して亡くなる事故は160件報告されています。その中で「家族の身体の一部で圧迫される」、添い寝が原因とみられるケースは5件報告されています。[1]

その後、滋賀県がおこなった子どもの死亡事例の検証では、添い寝で亡くなった赤ちゃんは、県内だけで過去3年間で5人にのぼっていました。さらに、5人のうち少なくとも3人が、“添い乳”が原因で窒息していたことが明らかになっています。
※この数値は過去に参照した資料をもとに記載しています。現在、元資料を確認できません。

授乳のあいだ親がずっと覚醒していて、授乳が終わって赤ちゃんを安全な寝床に寝かせるまでを確実に見届けられるのなら、添い乳の危険性はぐっと下がります。

しかし添い乳は、「母親が少しでも休みたい」からするわけで、要するに、添い乳をする母親はとても疲れています。疲れた状態で布団に横になって授乳をすれば、寝てしまう可能性は高いです。

添い乳をしても事故にならないことのほうが多いでしょう。しかし、事故が起きる可能性はゼロではありません。私は、そのリスクを受け入れてまで添い乳を勧めることはできません。

添い乳をするということは、自分の身体で赤ちゃんを窒息させてしまう事故が起こり得ることを、自覚しておく必要があります。

添い乳を使わない場合、どうすればいいか

私は、「産後の母親は眠くてつらいのが当たり前。添い乳なんてしないで我慢してください。」と言いたいのではありません。

添い乳をしなければならないほど切羽詰まっている原因はなに?を見極めて、生活にゆとりができる方法を模索するべきだと考えています。

  • 授乳が頻回で大変なら、授乳のリズムをつかめるような支援を
  • 赤ちゃんがなかなか寝てくれなくて添い乳せざるを得ないなら、赤ちゃんが眠れるようになる支援を
  • 腰痛など母親の体がつらくて添い乳しているのなら、体のつらさをなくすための支援を

授乳、眠り、身体。

この3つが整うと、時間的にも精神的にも余裕ができて、添い乳をしなければならないほどの状態から脱することができます。

いちばん大切なのは命です。

赤ちゃんの命を守るために、添い乳しなくて済む状況を整えてほしいと思います。

まとめ

添い乳は、夜間授乳の負担を減らせる便利な方法です。しかし、便利であることと、安全であることは別の話です。

添い乳が必要になるほどつらい状況なら、我慢するのではなく、その状況を生み出している原因を見直すことが大切です。

添い乳が必要になる背景は、人によってさまざまです。気になることがある方は、以下も参考にしてください。

◻︎授乳がつらい方へ
母乳育児の全体像

◻︎赤ちゃんが寝なくて困っている方へ
赤ちゃんのねむりの全体像

◻︎身体のつらさで添い乳になってしまう方へ

参考文献
[1]消費者庁. 『0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください!-家庭内で、就寝時に窒息死事故が多数発生しています-』. 2016年10月.


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この記事を書いた人

北川 真貴のアバター 北川 真貴 ソラチ助産院代表

助産師歴 21年 |授乳・睡眠・だっこ・整体・アーユルヴェーダ|
焦らず、比べず、正解や効率に振り回されない、やわらかい育児を発信。

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